ADHDの多動性・衝動性とは?欠点を強みに変えるコツ教えます!

こんにちは!

カウンセリングルームすのわ・臨床心理士の南です。

この記事では、前回の「ADHDの正しい対策は?何もしないと別の問題につながります!」で紹介したADHDの不注意の問題に続いて「多動性・衝動性」の問題について紹介します。

☆この記事を読んで欲しいのはこんな人

  • いつも落ち着きがないと言われる
  • いつも頭のがごちゃごちゃしている
  • ADHDの欠点を強みに変えたい

特に落ち着きがない・集中力が続かないことで悩んでいる方は最後まで読んでみて下さい!

自分の強みを活かすためのヒントが見つかると思います。

ADHDの多動性・衝動性とは何か?

前回の記事では、ADHDの診断基準から見た「不注意」の症状について紹介しました。

今回は「多動性・衝動性」について紹介したいと思います。

「多動性」とは字の通り「動きが多いこと」の意味で、一般的に以下のような特徴が見られます。

多動性

  1. 落ち着きがなく、体をもじもじする
  2. 椅子にじっと座っていることができない
  3. 余計に走り回ったり、落ち着かない感じになってしまう
  4. 静かに何かをして過ごすことが苦手である
  5. じっとしていられない
  6. しゃべりすぎる

また「衝動性」とは「何かをしたいと思ったら我慢できない」ということで、次のような行動に現れます。

衝動性

  1. 質問が終わる前に話し始めてしまう
  2. 順番を待つことができない
  3. 他人を妨害し、邪魔をする

「ADHD=多動で落ち着かない」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

確かにADHDの典型として、学校の教室で座って授業を受けることができずに、教室内を動き回っている子がいます。

class-302116_1280

このような座っていられないレベルの多動は年齢とともに改善することが多く、大抵の場合は小学校高学年には落ち着きます。大人になっても座っていられないような方はほとんどいません。

大人の場合は、座っていることはできても何だか落ち着かない、という程度の方が多いようです。

当ルームで主催しているADHD交流会に参加された方が、大人の多動性について「脳内多動」という表現をされていました。

脳内多動とは、他人から見て体は動いていなくても、頭の中で次々にいろんな考えや衝動が出てきて落ち着かない状態と言えるでしょう。次から次へと考えがわいてくるので、黙って作業に集中することができなかったり、じっと座っていることができなかったりします。

この「脳内多動」という表現は公に使われている用語ではありませんが、大人のADHDの多動性を理解する上で的確な言い方だと思います。

ジャイアンは多動性・衝動性タイプADHDの典型?

前回は不注意タイプの典型としてのび太くんを紹介しましたが、今回はジャイアンに登場してもらいましょう。

ジャイアンは漫画「ドラえもん」に登場するガキ大将で、暴力的でちょっとしたことで怒って、のび太を叩いたり、おもちゃを取り上げたりします。

そんなジャイアンのどのような所が多動性・衝動性ADHDの典型なのでしょうか?

ジャイアンは一般的にこのようなイメージで描かれています。

  • 乱暴でイライラするとすぐに手が出るガキ大将
  • 欲しいものがあると、それに一直線、我慢することできない
  • 野球やケンカなど体を動かすのが大好き、じっとしているのは大嫌い

のび太とは全く違ったタイプですが、ジャイアンもその乱暴さからよくお母さんに怒られています。

のび太くんは、不注意な部分が怒られるポイントですが、ジャイアンは衝動的な部分で大人に叱られている場面が多いですね。

「お前の物は俺の物、俺の物も俺の物」で知られている通称「ジャイアニズム」という考え方は、自分の欲求を抑えることができず友達のおもちゃを奪って満足しているという点で、多動性・衝動性タイプのADHDにも見られやすい特徴と言えるでしょう。

「ジャイアン」のように自分の思い通りにならないとついカッとなって暴力をふるったり、思ったことをすぐ口に出して相手を傷つけたり、勢い余ってけんかになったり、まわりはその子のことでずいぶん困っているのに、本人は全然気づいていなくて問題ナシの子どももいます。

「ADHD のび太・ジャイアン症候群3 ADHD子どもが輝く親と教師の接し方」

ちなみに実際には、不注意、多動性、衝動性とはっきり別れずに、3つのタイプが混在している人も多くいらっしゃいます。

例えば、のび太のように不注意によるミスや忘れ物が多いといった傾向にプラスして、ジャイアンのように思ったことをすぐに言動に移して失敗してしまう、といったケースです。

漫画のキャラクターのようにはっきりとした特徴とまで行かなくても、いくつかの傾向を複合的に持っている方も多いですね。

ADHDの由来は狩猟生活にあった!?

そもそも、どうしてADHDの多動や衝動といった傾向が人間に現れるのでしょうか?

「なぜADHDのある人が成功するのか」という本の著者であるトム・ハートマンは「ADHDは狩猟民族の特徴である」という説を主張しています。

  • 草原・森・密林で狩りを成功させるには、すぐに注意を散らし、絶えず周りに目を張らなくてはならない。
  • 同時に多くの作業をこなし、複数の獲物を追いかけられなくてはならない。
  • 危険を冒すことを恐れてはならない。狩猟社会に危険は必須である。
  • ある動物を追いかけはじめてから別のチャンスに巡りあったら、すぐさま(衝動的に)コースを変更して新しい獲物を追うよう決断できなくてはならない。

「なぜADHDのある人が成功するのか」トム・ハートマン著

ADHDの多動・衝動性の傾向は欠点ではなく、優秀な狩猟民族(ハンター)の特徴である、と彼は見ています。

indian-557261_1280

狩りに出るハンターにとっては、物音に即座に反応することが求められます。落ち着いて静かにするよりも、獲物に対して俊敏に動いて追い詰めることが必要です。

確かにカウンセラーである私から見ても、この「ADHD=ハンター説」に共感するところが多くあります。

子供のころは虫とりや鬼ごっこ、缶けりが活躍の場でした。小学生時代は珍しい虫を捕まえることに情熱を燃やしていましたし、大学時代には「かくれんぼ」をするサークルで日夜真剣にかくれんぼを極めていました。私自身もハンターの素質があるのかもしれません(笑)

しかし、ハートマンの著書でも書かれていますが、現代社会は危険に対して衝動性が求められる狩猟社会ではなく、計画性と忍耐が求められる農耕社会です。

その農耕社会でハンターとして成功するためには、工夫が必要なのです。その最初の一歩が「自分のADHDの特徴を知ること」です。

ハンターであることを財産に変えるには、自分を知ることが最初の重要なステップとなる。

診断を受け、ADHDがどういうものかを知り、それを受け入れることが、セラピーの7割を占める。

すなわち、ADHDのある人にとってこの自己認識こそが、変化と力をもたらす、素晴らしい源泉になるのである。

「なぜADHDのある人が成功するのか」トム・ハートマン著

カウンセリングルームすのわが提供するADHDのカウンセリングの中でも、自分の特徴を理解するというプロセスはとても大切にしています。

自分の特徴を知り、受け入れた上で、ひとりひとりの特徴に合った対策を考えていきましょう。

多動性・衝動性を強みに変えるコツ教えます!

ここからは、多動・衝動性から起こる問題について、特性に合った工夫をすることで欠点を強みに変えるコツをお伝えします。

ケース1:集中力がなく、初めの仕事を終わらせることに苦労しているAさん

悩み:

一つの仕事をやっていても、その仕事とは関係のない魅力的なアイデアが次々に頭に湧いてきて、衝動的にそのアイデアについて調べる。

気付くとずいぶんと時間は経っているものの、初めの仕事は何も進んでいない。

対策:

「25分作業して5分休憩する」サイクルを、タイマーを使って繰り返す。

解説:

豊富なアイデアはADHDの多動の賜物です。しかし次々にわき出るアイデアを追ってしまうと、どのアイデアも形にならずに終わってしまいます。

それを活かすための一工夫が、時間を区切って作業することです。シンプルですが、ADHDの方にはとても有効な方法です。一度試してください。

hourglass-620397_1280

ケース2:一つの仕事が長続きせず、次々と職場を変えてしまうBさん

悩み:

どの仕事も長続きしないので、周りからは根性なしの烙印を押されてしまう。自分でもすっかり自信をなくしてしまった。

対策:

職業選択が大切。自分の興味に集中するのがADHDの特徴なので、興味が持てることを仕事に選ぶことで人より秀でた結果を出すことができる。

解説:

退屈で興味が持てない仕事は、ADHDの人にとっては拷問のようなものです。

自分の特性を知らずに、次々に転職していてはキリがありません。自分の特性を理解して、自分の興味を活かせることを仕事にしましょう。

自分が興味を持てる対象には人一倍の集中力を発揮できるのもADHDの特徴です。

ちなみにトム・ハートマンは、著書の中でADHDに適した仕事として以下の要素をあげています。

ADHDの自由な発想は、創造的な仕事に適しています。また、強い刺激と変化に富んだ環境もADHDには向いています。

テーマ3:退屈に耐えられずギャンブルにハマってしまうCさん

悩み:

いつも落ち着きがなく、退屈に耐えられない。酒やギャンブルなど自分の欲求ばかりを優先してしまい、家族からは冷たい目で見られている。家では肩身が狭いため更にギャンブルに逃げてしまうという悪循環を繰り返している。

対策:

退屈にならないよう、適度な刺激を入れて予定を組む

解説:

例えば家庭ではイベント係として楽しく刺激的なイベントを提案することで家族に貢献できます。

ADHDのアイデア豊富な特性を活かして、家族で活動を企画しましょう。

面倒な交通機関やホテルの予約はパートナーにやってもらうなど、役割分担するのも良いでしょう。ただ程よい刺激に収めるように注意することも大切です。

ferris-wheel-690988_1280


このように多動性・衝動性ADHDの傾向が強い方でも、工夫次第でハンターとしての強みを活かし、周りに役立てることができます。

自由な発想、フットワークの軽さ、変化への適応力など、どれも上手く活かせばその人の強みとなる特徴です。

強みを活かすためにも、自分の特徴をしっかりと理解して、特徴に合わせた改善策をとっていくことが大切です。

ご自身の特性にあった工夫を具体的に知りたい!と思った方はぜひご相談ください。

落ち着きがない=欠点だと決めつけないで!

当ルームでは「自分はADHDだから欠点だらけのダメな人間なんだ」という思い込みをなくすところからお手伝いさせていただきます。

もしかしたらあなたにも優秀なハンターとしての素質があるかもしれません。

自分でも気づいていない隠れた才能を見つけて毎日に活かすことができれば、明日からの毎日はきっと自信に満ちたものに変わるでしょう。

「変わりたい!」と思った今がその時です。勇気を出してお問い合わせください。まずは気軽なご質問からでも結構ですよ!

この記事のまとめ

  • 落ち着きがない、じっとしていられない、おしゃべり→ADHDの「多動性・衝動性」かも?
  • 多動性・衝動性は優れたハンターの素質でもあるが、日常生活でその能力を発揮させるにはコツが必要
  • 自分のADHDの特性を正しく理解すれば、欠点を強みに変えることができる
新着記事

『ADHDの多動性・衝動性とは?欠点を強みに変えるコツ教えます!』へのコメント

  1. 名前:匿名 投稿日:2017/03/04(土) 13:29:35 ID:d3a884f23

    参考になりました

    • 名前:kazuyuki 投稿日:2017/03/04(土) 13:37:50 ID:b952b5e4d

      匿名さま
      コメントありがとうございます。参考にして頂けて幸いです。
      他の記事もお読みくださいね。

  2. 名前:T.N 投稿日:2017/08/11(金) 06:36:49 ID:1cc796f03

    現在、3歳男児の衝動性と奮闘中です。
    去年よりも格段の落ち着きを見せたものの、やはり衝動性は課題です。
    この記事には納得出来る材料が沢山ありました。
    しかし、3歳男児の解決策が…教えて欲しいと思います。
    衝動性を強みに変える方法と、衝動性をコントロールできるようになる、周りからの支援の方法を教えていただけますないでしょうか?

    • 名前:kazuyuki 投稿日:2017/08/23(水) 09:45:55 ID:659d48ba1

      T.Nさま

      こんにちは、カウンセリングルームすのわです。
      お返事がおそくなりまして、大変申し訳ありませんでした。

      3歳の男の子を子育て中ということで、それは、大変お疲れさまですね。
      『格段の落ち着きをみせた』ということから、T.N様は、日頃からお子様のご様子を的確にとらえて、丁寧に対応をされてきたのだと感じました。
      そのセンスは、T.N様のお力ですね。これまでの試行錯誤の積み重ねは、お子様の人生の基礎として、しっかり蓄えられています。

      そして、神経の発達的なことから考えると、大きな意味での『行動の落ち着き』は、小学生になるくらいまで、長い目でみていく必要がありそうです。
      その中で、
      ①衝動性を強みにかえる方法としては、例えば、『衝動的に、新しい遊具や場面に飛びこんだ』というように見えた場面でも、『怖がらずに、新しいことにチャレンジできた!』とポジティブに捉え、本人にフィードバックすることが考えられます。その場面にいなかった大人にも伝え、それを聞いた大人からお子様を褒めることも効果があります。
      ポイントとしては、お子様にとって『オレは、どんどんチャレンジできる人間だ』と肯定的な自己イメージをもてるようにすることだと思っています。

      ②衝動性のコントロール方法ですが、年齢的に、まだ『頭の中の言葉で自分を制する』ことは難しいので、物理的な制限によって、自己コントロールを学べるといいかもしれません。
      例えば、『おやつの時間、ちょっと遠いところにお菓子を置いて、挨拶のお当番をしてから、食べ始める』『公園に着く直前(遊びたい衝動マックスの状態)で、水分を摂る、遊具を確認して、何から遊ぶか話し合う』という小さなステップから始めてみてください。
      ポイントとしては、成功するかどうかよりも、お子様にとって、『ゴール(おやつを食べることや公園で遊ぶこと)までには、何かしら儀式があるらしい』ということを学んでもらい、『ゴール直前で一呼吸おく』ということを身体の感覚として(言葉ではなく)、体験してもらうことかなと思っています。

      もし、お住まいの地域に、保健センターなど、子どもの発達相談ができるところがあれば、ご相談されてみてもいいかもしれません。
      地域によっては、子どもの発達を伸ばす療育を受けられるところもあります。

      また何かありましたら、コメントいただければ嬉しいです。
      今後ともよろしくお願いします。

  3. 名前:kasumi 投稿日:2017/10/15(日) 22:35:03 ID:7e959030f

    こんにちは。
    保育士をして、2016年から担任を任されるようになったものです。
    去年は5歳児の担任をし、なんとか卒園させることができました。
    その中で“気になる子”について調べていたところ、自分もADHDなのではと思うようになりました。
    今年から0歳児を担当することになり、めまぐるしく変わっていく環境について行けず、春から半年経った今でもミスが多く、同じクラスの先生方から「だらしない」「出来ない」「無能」と言った雰囲気を醸し出している中で毎日が苦痛です。
    意を決して精神科を受けたものの、「ADHDなら仕事は出来ていないから、違う」と言われ終わってしまいました。
    それからまた1ヶ月が過ぎますが、段取りが組めずギリギリになってしまい同じミスを繰り返してます。
    自分に自信が持てず、仕事を変えようにも今のお給料が家庭を安定した生活にしているので変えることができません。

    無くした信頼関係を取り戻すために、仕事を上手くしたいのですが、専門の機関もなく困ってます。
    どうしたら、上手く仕事が出来るのでしょうか…。

    • 名前:kazuyuki 投稿日:2017/10/22(日) 16:09:39 ID:3ef3de97f

      Kasumi様

      こんにちは。コメントありがとうございます。
      お困りである様子、とても伝わってきました。
      保育士は、お子さんたちの保育以外の、行事の準備・事務的なこと・他職員との連絡・保護者とのやりとり、といった部分に、
      辛さがあるだろうなぁと想像します。

      今提案できることとしては、セカンドオピニオンという意味で、違う病院への受診をおすすめします。
      やはり、職場の理解をしていくことを先々想定したときに、医師の所見・診断、というのは、ひとつのキーワードとして
      必要になるかと思うのが理由です。

      また、カウンセリング・当事者会も良いツールかと思います。
      長期的に継続ではなくとも、単回で、お仕事の段取りや、ミス対策を考えていくことができます。
      おひとりで考えるのは、なかなかエネルギーがいりますし、辛い作業かと思います。
      カウンセラーや、同じ悩みを持つ方と会い、まずはKasumi様に安心感が増大することが一歩になるかもしれません。

      ご検討くださいね。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です