おススメ本の紹介⑦『天才と発達障害』

キャッチ―な題名に惹かれ、思わず手に取りました。

著書は、室内設計家で、才能と認知の偏りの関係を研究されている岡 南さん。

岡さんご自身が『映像思考』という呼称を提案されているように、言語ではなく『映像で思考している』という視覚優位の認知特性をもってらっしゃいます。

本の内容は、岡さんご自身の認知特性に端を発し、『認知の仕方のタイプ』を丁寧に説明したうえで、視覚優位の代表にガウディと、聴覚優位の代表にルイス・キャロルを置いて、その特徴や現実世界でのあり方を、時代背景や家族背景を丁寧に交えながら、論じられているものです。

自分にとって、『タメになった!』コラムがあります。

『映像思考の子どもを伸ばす学習方法』。視覚優位(映像思考)といっても、三次元に強い子もいれば、二次元の方が理解がしやすい子もいます。それに応じて、折り紙・パズル・粘土・映画・絵画…といった『子どもが興味を持つもの=覚えやすいもの』を駆使し、まずは視覚的に、映像で覚え、学び、あとから文字や言語レベルにおとしこんでいくのです。

例として、語彙力を増やす方法が挙げられています。まずは子どもが興味をもてる映画を親子で一緒に見て(映像記憶を保存して)、その次に、同じ内容の本を、大人が読み聞かせをして、その内容を言葉や絵で丁寧に解説をしていく(言語化していく)、というやり方です。

ポイントは、『子どもにとって、興味(ワクワク)をもって、ストレスなく学べること』

視覚優位の場合、『言葉にする、言葉で覚える』ことが苦手となる場合があります。無理に強いられるとなおさらです。しかし、上記のように、得意の映像記憶を温存させながら、それを自分のペースで言葉にしていく作業であれば、楽しんで取り組むことができるのです。

こうした『ストレスの少ない状態』で楽しんで学べるヒント・工夫が、役立ちました。

この本を読んで、『発達障害』の実態は、『認知特性の偏り(強い凸凹)』とも言えることを、改めて実感しました。そして、理解・支援する立場としては、凹(苦手)に注視するのではなく、『全体像(凸凹)をみて、凸(得意)を活かす』というスタンスがベストであることも再確認しています。

視覚優位、聴覚優位についてだけでなく、天才(ギフテッド)にご興味のある方にもおススメしますよ。

読まれた感想、またお勧めの本なども、お返事お待ちしています。
 
南和行
 
 

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