Q&A ADHDの改善には薬を飲んだほうがいいですか?

こんにちは!

足立区北千住カウンセリングルームすのわ・臨床心理士の南です。

この記事はADHDの改善策として薬を飲むことについて悩んでいる方からの質問に対してお答えする内容です。

※プライバシーに配慮し、内容は一部改変したり伏せたりしています。

☆この記事を読んで欲しい人はこんな人

・ADHDを改善しようと努力しているけれど、失敗ばかりで自信を無くしている人
・ADHDの改善策として薬が必要なのか迷っている人

30代の女性、既婚で一子あり(小学生)です。

病院で診断を受けたわけではありませんが、長いこと自分がADHDではないかと思っています。

うちは共稼ぎで子育てしていますが、私が仕事での不注意ミスが多いほかに、夫が普通にできる家事全般(特に片付けや整理整頓)がとても苦手で、分担しているのに私がやることが放置されていて、それを夫がブツブツ文句をいいながらカバーしています。

それを繰り返すうちに家事という言葉を聞くだけで追い詰められるような、自己嫌悪の気持ちになることが増えました。

片付けや整頓が苦手なのはADHDだとネットで見てすごく納得がいき、自分でできる対策(TODOリストのアプリを使う)を実践しましたが、自分でそれを続ける努力自体が続きませんでした。

こういうダメな私ではカウンセリングで相談に乗ってもらった程度で良くなるとは思えないのですが、やはり病院で薬をもらって飲むべきなんでしょうか?薬を飲んだら治りますか?それとも一生飲み続けないといけないんでしょうか?

ご相談ありがとうございます。

あなたがこれまでADHDではないかと思いつつも、改善するために自分なりの工夫を重ね努力されてきた様子が質問から伝わってきます。

そしてその努力がなかなか結果につながらないことで、「私はダメ」という思いが強くなってしまっているようですね。

“「こういうダメな私ではカウンセリングで相談に乗ってもらった程度で良くなるとは思えない」“

このような思いになってしまったのは、これまでの失敗体験の繰り返しで自信を無くしてしまっているからではないでしょうか?

そして自分に薬が必要なのか、薬を飲むとしたら一生飲み続ける必要があるのかという疑問や不安も大きいのでしょう。

このようなケースで知っておいて欲しいことをお話させて頂きます。

薬が必要かは自分で決めつけず、見極めが重要

まずはあなたの症状がカウンセリングのみで改善可能な状態なのか?それとも治療薬が必要なのか?の見極めが重要です。

“家事という言葉を聞くだけで追い詰められるような、自己嫌悪の気持ちになることが増えました“

とあるように、これまでの失敗体験によって家事対して苦手意識が大変強くなっているようですね。

「苦手意識から改善のための行動が続かずに上手くいかない」という苦手意識の悪循環が問題である場合は、カウンセリングを利用して小さな改善を繰り返していくことによって自信をつけ、悪循環から抜け出していく可能性も十分に見込めます。

しかしカウンセリングのみのアプローチを試した結果、その改善が不十分な場合は、薬を飲みながらのカウンセリングを提案することもあります。

もちろん初めから薬を飲みつつカウンセリングを開始するという選択肢もあります。ただし薬は一旦飲み始めると、すぐにやめることは出来きません。最低でも数か月は飲み続けなければ、改善しているか判断できないということは覚えておきましょう。

ADHDの薬は泳ぎの練習に使う「浮き輪」の役割

“薬を飲んだら治りますか?それとも一生飲み続けないといけないんでしょうか?”

これはADHDの薬の治療について多くの人が抱えている疑問です。

ADHDの薬は、痛み止め薬と同じように飲んでいる間は症状が緩和されますが、薬の効果が切れると元の状態に戻ります。また副作用が見らえる場合もあり、残念ながら「薬だけでADHDを根治させたい」という期待は現実的とは言えません。

ADHDの薬は泳ぎを覚える際の浮き輪のような補助の役割に例えられます。

泳げない人が初めからドボンと水の中に入って「さあ、泳いでください」と言われてもどうにもなりません。初めは浮き輪の浮力を利用して恐怖心や苦手意識を和らげ、その力を借りながら少しずつ泳ぎ方を覚えて、「自力で浮けた!」「前に進むコツが分かってきた!」「泳ぐのは楽しい!」という成功体験を重ねていく方がスムーズなのです。そして泳ぎを覚えた後にはもう浮き輪が必要なくなる人も多いでしょう。

しかし中には、どうしても泳ぐことが苦手で、ずっと浮き輪を必要とする人もいます。ADHDの薬とは、その浮き輪のようなものなのです。

ADHDの薬を飲むと、時間管理など生活習慣の効果的な改善策を継続しやすくなります。薬の効果を補助にして成功体験を積むことで、薬を止めた後でも、効果的な習慣を継続させられる人もたくさんいます。

ただし症状には個人差があるため、人によっては薬を継続して飲んだほうが効果的と判断されるかもしれません。

薬と併用してのカウンセリングが一番効果的だという研究もあることから、一般的には薬の力を借りながらカウンセリングを受け、ADHD対策を身につけることが最も近道だと言えそうです。

その場合に適したカウンセリングは、ただ話を聞いてもらうタイプではなく、行動と考え方を変えることが目的の「認知行動療法」がお勧めです。認知行動療法については以下の記事を参考にして下さい。当ルームでも非常に多くのご相談やお申込みを頂いている、人気のあるコースです。

 参考記事:

ADHDに効果的な治療法、認知行動療法とは?

まとめ

苦手意識が問題の本質にある場合は、カウンセリングのみを利用して小さな改善を繰り返して、改善していく可能性もある。

薬はあくまで補助的な役割。薬を補助にしてカウンセリングで対策を身につけるのが一番効果あり。

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