Sさん(30代・男性・ブレインスポッティング)のご感想
ブレインスポッティングを体験させていただきました。ブレインスポッティングでは、ある一つの授業での出来事をターゲットにしました。私は○○を大学院で専攻しました。○○学の授業内で生徒の発表、ディスカッションがありました。私は興味のある分野の発表を行いました。すると、内容や私の考えた意見に対して、他者からとても多くの批判をうけました。私の発表内容や表現の拙さもありましたが、批判を受けて「悲しい」「虚しい」気持ちが強く残りました。それもあり、その後、大学院の授業や勉強会での発表場面では、とても強く不安や恐怖を感じました。手には汗をかき、身体は固くこわばって、頭の中は考えがまとまらず混乱し、言葉がなかなか出ませんでした。早くこの時間が終わってほしい、早くその場から出ていきたいと感じていました。
セラピーが始まると、ターゲットを経験したときの身体感覚を探りました。胸の部分が重くなり、両腕がこわばりました。次に、目を動かし、身体感覚が強くなる視点をさぐりました。視線の位置で、身体感覚が変化する経験はとても面白く感じました。人によって違うと思いますが、私は出来事を経験した時の感情と同時に、映像としてイメージが出てきました。
セラピーを受けていると、感情や身体感覚が強くなったり弱くなったりと波がありながら、しだいにやわらいでいくのを感じました。心の中で「ああ、怖くないー」という考えがうかびました。また映像のイメージでは、その場所の人や部屋の壁、机などを思い出すのが苦痛でなくなり、鮮明になっていきました。そして、次第に色彩が薄くなり「あ、もう過去になっていくのかなー」「(楽になるのが)はやいなー」という考えも浮かびました。
次に、セラピストに従い、やわらいでもなお残っている感情や身体感覚を感じることを始めました。すると、最初に感じていた苦痛とは違う、より私の本質的な不条理な信念と思われる考えや感情がうかんできました。とても自責的で、何をしても上手くいかない、自分はダメ人間なのだという考えと、それに伴う苦しい感情でした。身体感覚も強くなりました。さらに、そのままセラピーを継続していると、その感情や身体感覚、イメージが低下していきました。
そして最後に、セラピストより「仕上げで、グレープフルーツを絞るように、最初に感じた気持ちを思い出してみましょう。少し意図的に感じてみましょう。絞り出すように」と言われると、とても強く苦しい感情や身体感覚、イメージが再び浮かんできました。グッと強く感じて、素早くやわらぐ、ということを繰り返していました。まさに絞り出すような感覚でした。そして、しだいに乾いた瘡蓋のようなイメージがうかんできて、ペリペリとはがれていきました。それに伴い、苦痛と身体感覚がやわらいでいきました。
全体を通して、振り返ってみると一番の印象は「楽になるのが早いな」ということでした。また、あの出来事は過去のことで、その時の感情や苦痛に、囚われることはないのだと考えました。そして私自身が日常で体験している様々な出来事の中で、自責的、自信のなさが、とても大きく影響しているのだなという気付もありました。セラピー中、セラピストが変わらない態度でそこに居るという感覚もあったことが、私がセラピー中に苦痛な感情や身体感覚に触れることが出来た大きな要因でした。
Sさんとのセッションは体験90分の一回のみという形で行いました。
ブレインスポッティング(BSP)は脳の深い部分にアプローチしてトラウマを解消させていきます。そして言葉よりも体の感覚を重視するセラピーです。
「感情や身体感覚が強くなったり弱くなったりと波がありながら次第に和らいでいく」とご自身の体験を表現していただきました。BSPの徐々にトラウマになっている出来事の記憶が過去になって、苦痛がなくなっていく様子が、臨場感あふれる文章から伝わってきます。
「(楽になるのが)早いなー」という感想を持たれたようですが、これがBSPの特徴でもある、脳のレベルでの深くて早い記憶の処理だからこその感覚です。
セラピストの南の存在をしっかりと感じていただくことで、トラウマを乗り越えていくリソースにしていただけたようで嬉しいです。
Sさんは自分とセラピストを信じて自分の感覚を冷静に観察していくことができました。だからこそ、一回で大きな変化を感じていただけたのだと思います。
内面の変化について、わかりやすく表現した感想ありがとうございました。