おススメ本の紹介⑥『「落ち着きがない」の正体』

『「落ち着きがない」の正体』 

著:スチュアート・シャンカー 訳:小佐田 愛子

敏感すぎて落ち着かない子どもに、「もっと頑張れ!落ち着け!」と注意をしても無意味。

その理由と、代替案(セルフ・レグ)が、脳科学を基に丁寧に説明された一冊です。

キーワードは、『セルフ・レグ(自己調整法 SELF-REG)』。

『セルフ・コントロール(自己制御)』ではないところが、ポイントです。

ただ単に、衝動を抑える(コントロール)のではなく、『衝動の原因を捉え、勢いを弱め、衝動に対抗できるエネルギーを育む』。この経験を積むことで、子ども自身が衝動を調整していけるようにする。

「落ち着きがない」とされる子どもと、その周りの大人(先生、保護者)が一緒になって、このレッスンに取り組めるためのヒントが満載です。

私が最も「おぉ!」と思った部分は、

『どうして、今?』という問いについて述べられた章です。

子どもの『衝動的な問題行動』に対して、大人が即座に反応するのではなく、『五感すべてを動員して、子どもの衝動のワケを知ろうとする』。

子どもの視野、体調、栄養状態、環境(温度、騒音、湿度、光)、大人の言葉、、、。

ひとつひとつを探り、『問題行動』から、『何がストレスとなっているのか』、『意味のあるメッセージ』を読み解いていきます。

例えば、『周りの音が騒音のように聞こえて、ストレスになっている、だから黙って座ってられない』のだとしたら、その子どもの行動が発しているメッセージは『静かな環境で過ごしたい』というように読み解くことができます。それが分かれば、『じっとしていなさい!』という的外れな注意ではなく、窓を閉めたり、耳栓を与えるといった、ストレスの調整に役立つ対処ができます。その体験から、子ども自身が、自分で調整する力を身に付けていくのです。

『どうして、今?』

「この子はいつもそうだから」、「怒っておさめるしかない」といったパターンに大人が陥らずに、『どうして、今、ココで、この行動がでているか?』という問いを常に大人が持っていられるか、、、私自身も問われています。

確実に言えることは、『セルフ・レグ』の視点から『衝動的な問題行動』に対処してもらった子どもは、自分の抱えていたストレスから解放され、同時に、『良い心身の状態』になることで、最大の『安心感』を得るということ。

セルフ・レグの真骨頂は、この『緊張(ストレス)からの解放と、安心感の育み』なのです。

ADHDを抱えてらっしゃらなくとも、あなた自身、また、お子様の困った行動との付き合い方の指南書となる一冊だと思います。

読まれた感想、またお勧めの本なども、お返事お待ちしています。
 
南和行
 
 
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