ADHDはなぜ片付けが苦手?背景にある4つの特性とは

こんにちは!

足立区北千住カウンセリングルームすのわ・臨床心理士の南です。

この記事ではADHD症状の「片付けの苦手さ」について、その理由を分かりやすく説明していきます。

☆この記事を読んで欲しい人はこんな人

■ADHD症状の「片付けができない」ことで困っている人

■「片付けができない」理由を知りたい人

・忙しい朝に限って、家の鍵が見つからない。

・今日中に提出しなくてはいけない書類が見つからない。

・必要な時に限って、ホッチキスが見つからない、慌ててコンビニで買ったら、後で3つのホッチキスが出てきてしまった。

・時間ができたら片づけをしようと思って、もう数年が経過してしまった。

・いざ片づけを始めたが、久しぶりに出てきた雑誌を読みだしてしまい、気がつくと数時間が経ってしまった。

こんな経験したことはありませんか?

実はこれ全部、私が過去に経験した困りごとです。

ADHDの多くの方は、片付けが苦手です。片付けが苦手なのはあなただけではありませんので、ご安心ください。探し物が必要な時に見つからずに、「いつも何か物を探している」と感じる人も少なくありません。そして片付けのプレッシャーと読まれていない片付け本ばかりが増えてしまうという悪循環に陥ってしまう話もよく聞きます。

ADHDの人が片付けを苦手とする原因は、4つの特性で説明できます。自分はずぼらな性格だからと諦めたり、どうしていつも三日坊主になるんだろうと自己嫌悪に陥ったりしている方でも、ご自身の特性を正しく理解することで苦手を克服しやすくなるでしょう。

これから、その特性についての説明と、それぞれの特性へ対応するための工夫を、2つの記事に分けて書いていきます。


①「脳内多動」と「衝動性」のせいで集中できない

ADHDの人は一つのことに集中するのが不得意です。

一つの事から次々と連想したり、まったく別の考えが浮かんできたりと、頭の中が大忙しで常に動いている「脳内多動」状態になっています。

この脳内多動で思いついた様々なアイディアを即座に行動に移さずにはおれない「衝動性」も、ADHDの方によく見られる特徴です。

帰宅して着ていたコートはイスにかけ、カバンとカギはその辺におき、直ぐにさっき思いついたアイデアをネットで検索、読みたいマンガを出して、読んでいるうちに、次々別のマンガも読んではその辺に積んでいく。気がつくと自分が行動した後に点々と行動の跡が残ってしまっている・・・。

脳内多動と衝動性が引きこす「部屋が散らかるパターン」はこんな感じでしょうか。

また片付けをするときに障害となるのも、脳内多動と衝動性です。

いざ片付けに取り組もうと、本を手に取って本棚に戻そうとしたあなたの頭に、「あのメール返信してない」という考えが浮かび、スマホに手に取りメールを送信。気を取り直してまた本を持つと、今度はこの本について調べたいことが出てきて、それを調べ出したら、自分が片付けをしていることを忘れてしまう。そんなことを繰り返して片付けが、ちっとも進まない・・・。

これは「片付けが上手くいかないパターン」の例です。いずれも思い当たる節があるのではないでしょうか?

一つのことに集中できない、衝動的に行動してしまう。こうして文字にすると誰にでも当てはまるような気がしますが、その傾向が強く出やすいのがADHDという形質なのです。


②面倒なことはとりあえず先延ばしにする癖

ADHDの人は面倒なことが苦手です。

少しでも面倒と感じることには、やる気が極端に出づらい脳の特性を持っています。そのため、使ったものを元に戻すことができずに、服を脱いだらそのまま、ペンを使ったらそのまま、と散らかりやすい傾向があります。

片付けの作業は楽しいわけではなく、面倒くさいと感じやすいものです。面倒な片付けはどんどん先延ばしになってしまいます。後から大変なことになると分かっているのに先延ばしがやめられないのもADHDの特性です。

そして嫌なことを後回しにした結果、部屋に乱雑に積み上がった物品の山を見てさらに面倒くさくなるという悪循環を繰り返している人が多いのです。


③空間認知が苦手でスペースを活用できない

ADHDの人は空間認知が苦手な人が多くいます。

空間認知とは、物の位置・形・方向・大きさ・位置関係などを素早く正確に認識する能力です。この空間認知力が弱いと、収納スペースに物を効率的にしまうことができません。

そのため、物の配置場所を決めることができずに、乱雑に詰め込んだり、積み上げたりしがちで、物が溢れて散らかってしまいます。


④優先順位を決められず段取りが下手

「タオル、下着が何十枚と溢れている。」「ペン、鉛筆、消しゴムなどが数えきれないほどある。」

どれもADHDの方の相談でよく聞く話です。

ADHDで片付け下手の人のほとんどが、捨てることに苦手意識を持っています。

物に優先順位をつけられず、必要な物と不要な物を分けることが苦手です。そのため多くの物をため込みがちになります。

「いつか使えるのでは?」

このように考えてしまい、古い物や不要な物を捨てられないで、多くの物に囲まれた生活をしている人が多くいます。

また行動の優先順位を立てることも苦手なために、片付けを計画することができません。

片付けをしたいと思いつつも、何から優先して取り組むべきかという取捨選択や段取りが自力でうまくできないため、後回しにしてしまっていつまでも取り掛かることができないのです。

 

大切なのは、あなたが片付け下手なのはADHDの特性だと理解し、無駄に自分を責めないようにすることです。

そして特性を踏まえた上で、効果的に片付けに取り組むことで、苦手を克服することができるでしょう。

次の記事ではこれらの特性を踏まえた実践的な対策をお伝えします。

この記事のまとめ

・ADHDの方の多くが片付けを苦手としている

・片付けが下手な原因は4つの特性(脳内多動&衝動性、先延ばし癖、空間認知力の弱さ、段取り下手)が原因と考えられる

・これらの特性と対策を正しく理解することで苦手を克服できる

新着記事

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です