ADHD当事者のパートナー・家族の“本音” パート1
こんにちは!
カウンセリングルームすのわ・臨床心理士の南です。
今回の記事では、“ADHD当事者のパートナー”が抱えがちな“本音”について、どんなものがあり、それらを少しでもポジティブなものにするヒントをお伝えしていきます。
この記事を読んで欲しい人はこんな人
・パートナーや家族との関係を良くしたいADHDの当事者の方
・ADHD当事者の方とより良い関係を築けるようなりたいパートナー・家族の方
これまでの記事でADHDのパートナーへのサポート方法を紹介してきました。
それは、ADHDのパートナーにありがちな日常生活での『つまずき』をカバーすることで、お互いに笑顔でいられる時間を増やせたらいいなという思いからでした。今回の記事ではそのためのヒントをお伝えしていきます。
パートナーの本音:どうして自分だけが頑張らなくてはいけないの?
家族会やカウンセリングで関わった経験から、“ADHD当事者のパートナー(もしくは家族)”として、なかなか言えない“本音”があり、それによって『素直にサポートする気持ちになれない』という事実があることも実感しています。
ある方は言います。
『自分が、良きパートナーとして、手とり足取り手伝ってあげれば、相手(ADHD当事者)も助かるし、自分もイライラしないことがわかってる。そのやり方もわかる。でも、どうして自分だけが頑張らなきゃいけなのだろう』
こういった思いが出てくることは当然だと思いますし、押さえ込んだり、否定されたりするものではありません。
本当は、好きなのに、楽しいのに、イライラしてしまう
相手の“イイところ”。型にはまらないアイデアマンで、なかなか意外なスゴ技もち。好きなコトへ注ぐエネルギーは爆発的。優しい、可愛い、かっこいい。
たくさんある“イイところ”に惹かれて好きになったから、相手も自分を好きになってくれたから、パートナーでいたい。
でも、ADHD特有の“直して欲しい行動”によって“イライラ”したり“ガッカリ”することで、相手の“イイところ”が隠れてしまい、自分が相手を好きな気持ち、一緒にいて楽しい気持ちまで感じにくくなってしまう‥・。
これが一番切ないことだなぁと思っています。
自分の理想を相手に求めることで、イライラが大きくなる
この切ない事態に陥ってしまう背景には、“自分が相手に求めている理想像”があるのかもしれません。『いつもテキパキと片付けをしてほしい』『女性なのだからパパッと家事をこなしてほしい』『計画的に仕事をこなしてこそ、デキる男』などなど、自分でも気づかないうちに相手に求めている“理想像”。
この“理想像”が頭のなかにチラついていると、現実の相手には“ダメ出し”だらけになるのは当たり前です。
でも、その理想像はアナタ自身のもの。厳しい言い方ですが、相手には関係ないものです。
自分が持っている“理想像”を自覚しましょう
まずは、自分が相手に求めている“理想像”の正体を、はっきり言葉にしてみましょう。これによって、『自分が相手に何を求めていて、何が足りないことを不満に思っているのか』を自覚できます。これを自覚しているだけでも、大きな意味があります。そして、“理想像”それ自体があなたのなかにあることは、認めましょう。ないものとして押さえ込まなくてもいいのです。自覚していることが大切です。
積極的に“イイとこ探し”をしよう
1日3回『ありがとう』を言う。まずは1回から始めてみましょう。
『ありがとう』を言うために、積極的にパートナーの“イイところ”を見つけるはずです。
そして不思議なことに、『ありがとう』を言うと、『ありがとう』がパートナーから返ってくることが、増えるはずです。これを“ことばの魔法”と思っています。
誰かとパートナーのことについて話そう
第三者に自分のパートナーのことを話すとき、あまり悪いことばかり言いたくないですし、“見栄”も手伝って、意識的にイイところを話すことが多くなります。話をしながら、自分も『あ、こんなイイところ、あったな』と気づくことができます。
話す相手、として、カウンセラーを探すのもひとつです。カウンセラーと話すことで、はじめは『不満』でいっぱいだった頭の中に、『パートナーとの間で起きているイイ部分』や『自分のなかにあるポジティブな気持ち』を発見することが期待できます。
ADHD当事者の方で、「自分は頑張っているのに、パートナーは自分の頑張りを全然認めてくれない」と不満を持っている人もいるかと思います。
そんな当事者の方はADHDのパートナーの葛藤を少しだけでもイメージできたのではないでしょうか?そうすることで、相手のイライラの意味を理解してあげることができるかもしれません。理解ができると、悪循環を抜け出すこともやりやすくなります。
パートナー・家族の方で、「相手のことは理解してあげたいし、サポートしてあげたい、でもどうして私だけ」とイライラしてしまって、キツク当たってしまうなどを繰り返してしまっていた人もいるかと思います。
この記事を参考にして、その悪循環を抜け出して、お互いを大事にするコミュニケーションを獲得しましょう。
自力での解決が難しい時は、すのわでは家族の方の相談にも乗っていますので、お気軽に連絡くださいね。