おススメ本の紹介⑤『発達障害 大人が変われば薬はいらない!?』
『発達障害 大人が変われば薬はいらない!?』
おそい・はやい・ひくい・たかい No.99 編集 岡崎 勝
今回のテーマは、『発達障害を抱える子どもの服薬』。
表紙には、『ADHDへのコンサータは短期的な効果…子どもの脳への影響は大きい』『せめて、ごく限られた、短い間、単剤で。』『通学にそれは必要ですか?』
というコメントが書かれています。
この本を目にした時、正直、ドキッとした自分がいました。
私の服薬に対するスタンスは、『代替可能な、ピースの1つ』です。
ADHDの治療や改善策の『全体像』のうちの1つであって、服薬以外のたくさんの工夫・手段があります。そして、その中には、服薬の代替となるものもある、と考えています。
それでも、つい、その副作用やその他の手段をスキップして、服薬を『第一選択肢』としてクライエントさんに提案してはいないか…?と、自分の姿勢を問われたような思いでした。
この本の内容は、
①問題提起として、学校で『発達障害を抱える児童に、服薬を』という姿勢が安易に広がってるのでは、という懸念について、教職員・保護者からのレポート
②精神科のお医者さんへのQ&A形式で、児童と服薬の関係を丁寧に解説、薬の知識
③『学校・医療者・薬』の関係について、小児科の先生や、教職員からのアドバイス
という形式で、保護者の方も読みやすい文になっています。
特に、②の、精神科のお医者さんの解説から、エッセンスをご紹介します。
山登敬之 先生(児童精神科医 東京えびすさまクリニック院長)
『服薬は、症状が繰り返し現れ、本人が苦痛を感じるときに』
清水誠先生 先生(児童精神科医 横浜カメリアホスピタル)
『薬の短期的な効果はあっても、長期使用は、そのリスクは未知なうえに、効果がないという研究もある』
松本俊彦 先生(精神科医 国立精神・神経医療研究センター)
『薬を一概にダメと言うのではなく、周りの大人が(大人自身も)、薬に代わる”依存先”をつくる』
この本からは、編集人の岡崎さんが仰っているように、
『”薬が治す”のではなく、サポートする大人のスタンスと工夫が、発達障害を改善する』という率直なメッセージを感じます。
カウンセリングルーム すのわ では、保護者の方や、教職員の方など、ADHDを抱えるお子さんをサポートする大人の方のご相談にも対応していきます。
共に、『服薬にもオープンに、でも、それ以外のピースを探索していく旅』を歩みたいと考えています。
どうもありがとうございました!